‘健康’
医療の現場 その3
保険が適用される疾患は大きく異なりますが、整形外科や接骨院の多くが「保険診療」という枠組みの中で経営されています。
「保険診療」は医療を受ける側にとって大きなメリットがありますが、そうした枠組みを一定の水準に保ち、枠からはみ出さないようにガイドラインが設けられています。
私が勤めている整形外科では、症例検討会が毎週ありますが、「治すこと」より「問題が起こらないこと」に重きが置かれているように感じます。
ガイドラインから外れた方法で治療を行ない、患者さんとの間に何らかのトラブルが起こった場合、それが病院の責任で無くても、訴訟で勝てる可能性は低くなります。
それぞれの資格を活用するために、同じ答えが出せるように学び、同じことが出来るように練習し、同じシステムで経営することを求められます。
しかし、体系を作るということは同時に個を切り捨てることになり、患者さんの症状に対応するという本来の道筋から外れることにもなり得ます。
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医療の現場 その2
医療を受ける側にとっても施す側にとっても、「健康」があまりに日常から離れてしまっているのではないかと感じることがあります。
本来は、活動する中でからだを動かし、食事をすることで栄養を取り、睡眠によって休息を得られ、心身の働きがリズムを合わせて巡ります。
時に、病気やケガを経験し、そこから学んで、生活を摂生したり、行動を気を付けることが出来ます。
そうして、日々の生活によって健康が維持され、生を全うできるのが理想であるように考えます。
それだけでは、どうしても解決できない重大な怪我や病気が起こったときに、手術や薬によって助かる人もたくさんいます。
けれども、そうした緊急事態に対処する方法が進歩するあまり、患者さんが日常に遭遇する健康の悩みを解決するための医療が、ポッカリと抜け落ちているような印象を持ちます。
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医療の現場 その1
私は、接骨院と整形外科で働いた経験があり、その両面から見た医療の現場について書いてみたいと思います。
少し文章が長くなりそうなので、何回かに分けて掲載します。
接骨院で働いていると、「ケガをして整形外科を受診したけど、ちゃんと体を診てもらえなかった」「病院で勧められて手術をしたけど却って不自由になった」という不満を聞きます。
整形外科では、「接骨院でこんな施術をされて痛くなった」とか「治療院に長い間通っていたけど、結局変わらなかった」といった声を耳にします。
当然ながら、それぞれの診療所や治療院によって評価は様々で、そうした意見は来院されている患者さんの内のごく一部の感想です。
けれども、その患者さんにとっては、経験した印象が全てになってしまうこともあります。
人体についてここまで解明された、難病の治療法が見つかったと、医学の発達に関するニュースがたびたび話題になります。
それにも関わらず、身の回りでこれだけ医療に対する不満の声を耳にするのは、なぜなのか考えることがあります。
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副作用
膝の痛みを訴えておられた方から「便秘がマシになった」とか、腰痛で悩んでおられた方から「寝付きが良くなった」といった思いがけない感想を頂くことがあります。
副作用と聞くと悪いイメージを持ってしまいがちですが、主訴以外の場所に良い変化がみられることもあります。
与えられた刺激に対して様々な場所に反応が現れるだけで、からだにとっては主も副も無いのかも知れません。
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病名
愁訴があるのに病名が分からない方もいれば、自覚症状がないのに病名を付けられる方もいます。
そもそも、どこまでが健康で、どこからが病気と言えるのでしょうか。
症状が現れたとき、不調を感じたとき、健康診断に引っ掛かったとき、それよりももっと前でしょうか。
病気になる前と後には、明確な区切りはありません。
風邪やインフルエンザなどの感染症でさえ、ウィルスに感染する前に、疲労の蓄積や免疫の低下といった罹患しやすい背景があります。
様々なからだの不調は、体調の大きな流れの中の変化の表れであるように考えています。
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膝のレントゲン
膝関節症と診断された患者さんのレントゲンを診せて頂くと、膝の関節の隙間が、外側よりも内側が狭まっている症例をよく見かけます。
レントゲンでは膝の辺りしか写されていませんが、その写真からも骨盤の開きや、股関節の角度や、下腿部の捻れや、足部の傾きが想像されます。
本当に、痛みの出ている膝に原因があるのでしょうか。
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反応
症状の出方が人それぞれなら、治療によって起こる反応もまたそれぞれだと感じます。
脚の同じ経穴に鍼をしても、膝痛の方は膝の可動域が改善したり、便秘の方はお腹が動き出したり、風邪を引いている方は咳がマシになったりと、違った変化が生じます。
身体のバランスって不思議で面白いですね。
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発声
50代の女性で、長い間、首の痛みや頭痛で悩んでおられました。
仰向きで首の後ろ側に触れているとき、お話しされる度に、上位の頚椎あたりを強く緊張させておられることに気付きました。
そこで、手を下腹部に当て、腹部の動きに注目しながら呼吸していただき、そこに意識を置いたまま、声を出すようにアドバイスさせていただきました。
声の出し方ひとつ取っても、人それぞれ力の入っている場所が違い、日常のあらゆるところに、からだを変えるためのヒントがあるものだということを実感しました。
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赤とんぼ
先日、60代の男性で、膝の痛みを訴えておられるお客様を施術させていただきました。
施術後も、椅子から立ち上がる時の痛みは残っていましたが、動作のアドバイスをさせていただき、その日の治療は終了しました。
その晩、原っぱで赤とんぼを追いかける夢を見られたそうで、目が覚めてみると膝の痛みがすっかり無くなっていたと、後日、話してくださいました。
その話を聞いて私も嬉しく思い、こころとからだの繋がりを興味深く感じました。
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なぜ「呼吸」なのか
セミナーで配布した資料の続きです。
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