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PONOブログ

‘合気’

稽古メモ その7

   2019年05月02日

 

私は毎週、合気の稽古に参加し、覚書を残しています。
今年書き残したメモの中から、特に骨盤と関係の深そうなものをピックアップしてご紹介します。

【骨盤】

脚の向きや幅、骨盤の角度など条件を変えながら、四肢から丹田に集まってくる流れを集約できる前提を検証する

下肢内側から臀筋間、仙腸関節、第五腰椎、季肋部、肋骨、頚部へと、呼吸で丁寧に繋げながら指先まで伝達する

身体を捩らずに左右の仙腸関節で引きと攻めをすることで、脚を後方に引きながら、対側の拳で前を突く連動が起こる

骨盤を締めたまま、さらに恥骨や坐骨を寄せることで、内圧を高めて細い幅で動く

恥骨を寄せながら中央に骨盤を寄せて、左右の骨盤の輪の中をきっちり力が通っていくように廻す

腸骨稜の丸みを歯車として嚙み合わせるように吸い込み、逆回転させることで相手の内側に入り込んで浮かす

中央での吸い上げを反映させて相手を浮かせ、骨盤の動きによって下から潜り込んで背骨を立てていくことで離陸する

呼吸で仙骨と後頭骨を繋げて張力を溜め、仙腸関節の幅で焦点を合わせて力を放つ

吸い込んだ負荷や返っていく起点や方向の切り替えを外に逃がさずに、骨盤の内部で処理する

骨盤内の圧力を呼吸で操作して、溜めからの転換によって起きる力を全身に伝えることで動きを導く

骨盤を回旋せずに、左右の薄筋の張力をグラデーションのように移し替え、前後に重心移動する

骨盤の傾きが脊柱を上り、糸の張りが手に伝わるまで待って、バランスで刀を浮かす

吸い上げと共に骨盤や肋骨を下から締めて、中を細くしながら刀を上げていく

第五腰椎を決めて息を吸うと腰のカーブに合わせて反りが生まれ、その刃筋のまま仙腸関節の動きで斬る

仙腸関節の切り替えで刀の角度をコントロールして、相手の首筋を通るラインへ捻り込む

腸骨と対側の肩甲骨の関係性を維持しながら袈裟に構え、上げるときも下ろすときも骨盤で先導するように動く

骨盤の前後左右の複合した動きを、膝と肘のバランスに反映させて、常に丹田で主導しながら刀を振る

鼠径部が深まる方向へ骨盤を傾け、背部の脱力や肩甲骨の落下と繋げて刀を下ろす

骨盤の内部で相手の中心に伝わる角度に刃筋を合わせたら、落下するバランスのまま鼠径部の隙間に落とすように斬る





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呼吸と動作 その4

   2019年04月11日

 

膝の痛みを抱え、変形性膝関節症と言われている方も多くおられます。
原因として、加齢によって半月板がすり減った、体重の増加によって関節に負担が掛かったという説明をよく聞きます。
実際に、レントゲン上でも、関節の隙間が狭まったり、関節が変形して大きくなっていることは多くありますが、それは結果であって原因ではありません。

膝の痛みによって、立ち上がる時や、階段の昇り降りをする時がつらいと言われることがあります。
動作を見せて頂くと、下腿部を止めたまま、膝関節を支点として上半身を持ち上げようとする使い方をされているケースを目にします。


それでは、上半身を移すために膝や太腿ばかりが頑張らなければなりません。
視点を変えると、膝関節がそうした身体の使い方に適応するために、関節の形を変えているという見方も出来ます。
骨が変形する過程では炎症が起こり、当然、痛みを伴います。
筋力で補おうと太腿のトレーニングをすると、原因が改善されないばかりか、症状を助長する恐れもあります。
本当に必要なのは、膝が膝としての役割を果たせるように、全体の中で使い方から見直すことです。
呼吸、重心移動、脚の向き、骨盤や背骨の角度、頭の位置、目線など、協力してくれる場所が増えるほど、膝の負担は減り、本来の働きを取り戻します。
そして、そうして得た感覚は、日常のあらゆる動作に関連し、自らを健康に導く上で役立ちます。

身体はいつも、自分の日々の活動や内から起こる要求に応えてくれています。
誰もが健康でありたいと望んでいるのに必ずしもそうならないのは、本来の身体の持つ機能と実際の身体の使い方の間のズレが一つの要因として考えられます。
そうした隙間を埋められるよう、合気を通して学んだ呼吸と動作を元にアドバイスさせて頂いています。


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呼吸と動作 その3

   2019年04月09日

 

合気の稽古に参加する度に新たな発見があり、それぞれの部位の形やバランスが持つ意味に気付かされます。
骨格や経絡を知識として学んでいるときには思いも寄りませんでしたが、 身体を観察していると「それでこういう構造なのか」「こう繋がっていたのか」といった驚きや喜びでいっぱいです。
全身が呼吸で連動したときには、全体が目的に向かって協力して動き、無駄なところは一つもありません。

そうした全身の連動は、合気のみならず、日常の動作においてもとても大切であることを感じています。
身体にとって必要とされている場所は活発になり、必要とされている能力は高まります。
それは、スポーツや芸能、あるいは学問を突き詰めて取り組んでおられる方々を見ればよく分かります。
反対に、使っていない場所や使っていない能力は、その機能が衰えます。
例えば、猫背の姿勢になっている方は、日常生活で背骨を丸めることが多く、反らせることが少ない傾向が見られます。
ただし、単純に背筋を鍛えたり、背中を反らせる体操をすれば良いというものでもありません。
背骨はたくさんの脊椎が連なって構成されていますが、どの高さを中心に動かしているかは個人差があります。
身体の一部を度を過ぎて使うと、活発を通り越して痛めることになります。
痛みや不調は、そのことに気付かせてくれる身体からのサインでもあります。
背骨全体を柔らかく動かすためには、骨盤や脚、肩甲骨や腕、そして頭というように、直接・間接に繋がっている全ての場所が関係します。
つまり、どこか働きを改善しようと思えば、身体の全体の連動の中でみていくことが必要になります。


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呼吸と動作 その2

   2019年04月06日

 

呼吸の上昇と共に骨盤の傾きが変わり、中を上がっていく力によって脊柱が伸びて、頭部を浮かせられます。
頭部の高さを保ちながら背中や腰の力を抜くことで、下から支えるのではなく上から吊るし、呼吸の風や内圧の変化で自由に動けるようにします。
軸を伸ばしたまま弛めることで、関節同士を連結させて力を溜めながら、臨界でひるがえる時に鞭のしなやかさを持たせます。
バネを圧縮するほうがピンボールの玉が勢いよく弾き出されるように、身体の持つ張力が高まるほど、解放される力は大きくなります。

仙腸関節の動きと連動して脊柱から肋骨へと力が伝わり、さらに肩甲骨から上肢へと伝達されます。
下から肋骨が締まっていくと腕が上に上がり、肋骨の中を通るとカーブに沿うように腕が伸びます。
一本づつの肋骨の高さや形によって方向性が生まれ、それが肘をコーナーとして向きを変えて手の行き先が導かれます。
体幹の内部のどの経路を通すかによって腕のラインや到達する指も変化し、多彩な動きが実現できます。

合気の技では、脱力しながら相手の呼吸を吸い込むことで息を吸い、自分の呼吸を相手に吹き込むように息を吐いて働き掛けます。
お互いの関係性によって息の入り方が変わり、それに応じて吸い上げられる経路が生まれ、呼吸が続いていきます。
自己都合ではなく、相手に合わせた呼吸が自然に出来るような身体を目標として、稽古に取り組んでいます。


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呼吸と動作 その1

   2019年04月04日

 

合気の稽古では、いかに力を抜いたまま動けるかを意識して動作をしています。
最近の体感をまとめておこうと思います。

動力は、筋力では無く、呼吸によって起こります。
骨盤を立てて、骨盤腔と下腹部で形成される球形の空間に、呼吸を入れます。
実際に空気が入るわけではありませんが、体幹の深層の筋が骨盤を内側から締めると呼吸で外に膨らむ力と拮抗して、内圧が高まります。 
下方向には脚が伸びて足底の圧が高まり、上方向には骨盤をさらに丸める働きが起こります。
腸骨が傾くと仙骨がキーストーンとなり、骨盤と脊柱の連結を高め、腰が入ります。

全方位から均等に高められた圧は中心で上下への伸びに変わり、体幹の中央に細い通り道が出来ます。
下腹部の内圧が上下のどちらに向かうかは、横隔膜によってコントロールされます。
肋骨を締めながら息を吸い上げると、腹腔と胸腔の圧力の配分が変わります。
灯油を汲み上げるポンプのように、腹腔内圧の変化によって下肢の内側から上がってくる流れが体幹の中央に合流します。





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稽古メモ その6

   2018年10月17日

 

【意念】

丹田の感覚を維持しながら、重みを地中深くに下ろし、軸が空まで伸びるようにイメージする

自分にも相手にも拘らずに、後ろから風が吹き抜けていくように、空間全体に意識を広げて、その中で動く

相手の負荷に合わせて弛めて、行けるラインが現れた瞬間に意志と一致させて離陸する

扇子を開くように広がりを持たせて相手を浮かせ、漏斗状に一点に集約するように落とす

自分の軸をずらさずに弛めて、目線を正面に向けながら、斜め前に居る相手の中心に意識を付けておく

目線による誘導を、視点を止めたまま内部で行ない、相手に付けながらも意識を全方向に広げておく

相手の後方を刺しながら、自分の背側の意識を保ち、広い空間の中での中心を動かす

接点に拘らずに、全体を大きな螺旋で繋げて、相手の指の先端が渦の中心となるように巻き取って崩す

中央で吸い上げて背側の空間まで呼吸の広がりを持たせ、光背でもって相手の背部を動かす

肚から指先までの呼吸の通り道を明確に辿り、イメージとも一致させて、相手の身体にも息を通していく

相手の向こう側まで意識を広げて峰と谷をイメージし、相手の全体に響くように重みを落とす

先に意識が通っていて、いつでも刀を下ろせる状態だからこそ、後出しでも勝つことができ、相手の出方に応じて変えることも出来る

 

【総合】

図形の点対称や線対称のように、中心を保ったまま転換できるからこそ、身勢が移り変わっても常に刀が相手の中心に向かうことを学んだ

意識での誘導と弛める動きでフェイントを掛けて相手に先に刀を振らせ、後出しで上太刀を取る

寸止めで付けて、相手の上面、中、下面へと浸透させ、中央の落下と一致させて刀を下ろす

一刀を相手の手刀に付け、もう一刀の刃筋を首筋に合わせて、二刀を一致させて振り下ろす

浮かせたところから一側で攻めて崩し、反対側の攻めを重ねてさらに崩し、左右の時間差で中心からずらし続ける

小太刀でも、刀や身勢や意志が一致して相手の中心へ向かうように前進できれば、相手の太刀が逸れて道が開けていく

相手とぶつからないように身体を弛めて立ち上げ、相手の負荷が自分のバランスを整える切っ掛けとなるように技を掛ける

重みや固さに対して余分な力が入ると、その分だけ自分に返ってくるため、必要最小限の力で動けるようにしておく

体位を転換することで起きる体重移動や切り返しを、体内のコンパクトな動きで再現して同様の力を伝える

止まったところからも、呼吸の同調や意念の誘導で、相手の方向性を引き出して崩す

相手と敵対せずに、接点が馴染んでいくように弛め、自然に伸びていく方へ伸ばす

動きにくい場所を直接動かすのではなく、離れた場所からの響きをみて、その間を通すことでバランスを変える

手が抜けない状況から、弛みを取ったまま引きと攻めでバランスを変え続けると、合気の技になる

引きながら攻めるように腕を持って相手が対応できない状況を作り出し、どちらにも動ける状態で反応を窺う

最初から経路を決めず、あくまで相手の反応を訊きながら触れることで、虚が掴めて予測できない技になる

経絡を伸展するように相手の弛みが取れ、身体の自然な流れを辿るからこそ、技を掛けられると調子が良くなることを実感した


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稽古メモ その5

   2018年10月07日

 

【体内操作】

下肢内側の感覚が高まり、会陰が締まるバランスで息を吸い、呼吸によって頚まで伸びが伝わる姿勢を取る

孔雀が羽を開くように後ろ手で伸展が掛かっている感覚で、手が前にあるときも中を伸ばして背側の意識を保つ

頚部を伸ばしてもたれ掛かることで高度を上げながら弛みを取り、後頚部の引きで相手を吊っておくことで、糸を張ったまま動く

鼠径部を深めて持たれた腕をいったん相手に預け、股関節に生まれたゆとりを次の動きに繋げて、流れに逆らわないように動く

相手の手の内に合わせて弛めることで手の形が生まれ、次に向かう方向が決まっていく

手の甲が丸くなるように指を中心に集め、張って開いたときにも手部の締めを保つ

労宮を意識しながら手を開き、背側を張りながら手を握り、全身の引きと攻めによって手の形を変える

持たれた場所の弛みが取れたら、体幹の軸の伸びで相手を崩し、それを指先まで伝えて転ばせる

親指を秘めて肘や肩の力を抜き、通り道を透明にして、丹田と繋がるバランスで力を返す

中指を決めたまま、薬指を浮かせて、小指側の伸びで相手の崩れていく方向へ後押しする

指先まで伸ばして中の弛みを取り、たわませずにバランスを変え続けることで相手を巻き取る

指先で攻めた状態で弛んでいく流れを丹田に戻し、腕の落下に任せて手を返すことで相手を引き寄せる

相手に手首を掴んでもらい、お互いの手の厚みの間でセンタリングして、中央の隙間に力を通す

自分の掌側の繋がりで相手の掌側が繋がり、自分の背側の張りが伝わって相手の背側まで取れる

相手の攻めと釣り合うようにバランスを取り、内から手を開いて均衡を崩すことで、中心をずらして転ばせる

体幹からの伸びで刀を上げ、先に重みを下ろしてから、中心から物打ちまで繋げて順に落とす

手が締まるバランスで刀を下ろして相手の刀にそっと付け、中央に集まった細い幅のまま入れる

肋骨の締めと上肢の伸びを一致させ、肘頭の上から上肢を伸ばすように手を差し出す

両手を引き分けて分け目の感覚を保ち、両肘の幅を変えずに立て替えによって刀の流れを導く

横隔膜を締めて上肢を浮かせたままキープして、中心からの伸びと重みによる落下で腕を動かし、股関節で方向を操作する

頭部を浮かせて頚から下をゆらゆらしながら、相手の揺らぎを感じ取り、崩れそうな方へ尾骨を振って相手を転がす

ボールの中心が感じられる位置にセンタリングして、丹田の振動をその点と一致させて相手の頚まで反映させる

骨盤の動きによってボールを転がし、転がりを相手の腕から頚を通して反対側の谷へ誘導する


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稽古メモ その4

   2018年09月21日

 

今年4月から8月までの合気の稽古の記録をまとめてみました。
今回は、「呼吸」と関連の深い内容を掲載します。

 

【呼吸】

吸い込みながら恥骨を締めて、締めをキープしながら大腿部を張り、呼吸で臀部を浮かせる

会陰の締めが薄筋と繋がるバランスで吸って、頚が伸び後頭下筋が働く方向に吸い上げる

肋骨を締めながら呼吸を中央に通すことで、下肢内側からの吸い上げを上肢の伸びに繋げて、相手に入れる

左右の肋骨を操作して、焦点を相手の中央に合わせ、体内で呼吸を丸く動かして、相手を大きく崩す

相手の両側からの攻めを漏斗状に吸い込んで中心に集め、その細さを保ったまま吸い上げて鋭さを生み出す

労宮で吸い込みながら、五指を均一に張って、手背側の意識を呼吸の広がりと一致させる

身体背側を呼吸で広げて手背の意識を保ち、上肢前面や腹筋を縮めずに動く

後方の意識を保ったまま中央で吸い上げると、頚が伸びて頭が浮き、骨盤の動きを指先まで伝えられる

指先から力を通して相手の向こう側まで突き刺し、労宮の向きを相手の中心に合わせ、入れながら吸い込む

吸い込みと共に労宮が深まって会陰が締まり、指先の伸びと共に会陰が引き上がり、常に労宮と会陰の動きが連動する

脱力と呼吸の伸びによって手首を決めて五指を集め、自分の身体がたわまないように張ることで、相手と繋げたまま動く

呼吸で張って接点を一致させても手の形は固定せず、刻々と変化するバランスに応じて自由に動かせるようにしておく

相手が押してくる分だけ軸で攻め、閉じてくる分だけ張り、相手の負荷に逆らわず呼吸とバランスで釣り合いを取る

相手に持たれたバランスで息を吸って接点を一致させ、その位置を留めたまま弛めて落とせる前提を作る

肩甲骨と鎖骨が一致して浮く方向に吸い上げ、肘が浮いたまま手首が決まるバランスで弛める

相手の刀に当たる直前で吸い込み、肩を弛めることで付け、吐きながら相手に入れて崩す

呼吸を吸える方向へ吸い上げ、吐ける方向へ弛めることによって落ちる場所が決まり、峰と谷の感覚が生まれる

寸止めから相手に触れたときには吸って吸って弛めるところまで済ませ、落ちるラインに意識を付けておく

呼吸に伴う全身のうねりを、相手に掴まれた手首の点に反映させて、わずかな動きで大きく崩す

相手が両肩に体重を乗せてきても、高まった丹田の感覚が広がるように息を吸えば、勝手に力が返って行く

相手に姿勢が崩れる固め方をされても、いったん脱力してそこから呼吸で立ち上げられると、立場が逆転する

五分五分から吸い上げて相手を浮かせ、自分が脱力した瞬間に、相手が崩れ始めて通る道が生まれる

相手を自分に対する抵抗とせずに、そのバランスの中で、呼吸に伴う緊張と弛緩が自然に起きるほうへ進む


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丹田について その2

   2018年05月17日

 

丹田は、動作の中心であると同時に、感覚の中心でもあります。
外部から自分に向けて情報が入ってくるということは、そこには流れが生じます。
ただ感覚を受け入れるだけなら一方通行ですが、その流れが呼吸と一致したものであれば、臨界点で方向が切り替わり、交流が起こります。
自分の都合を先行させず、お互いがぶつからないバランスを辿るように動くことが出来ると、結果的に合気の技になります。
「感じる」と「動く」の間の区別が無くなり、丹田で受け取ることで動きの生まれる身体を創れるように稽古しています。

丹田感覚は、武術だけに活かされる力ではなく、日常の生活においても大きな変化をもたらします。
現代の生活は、身体の上方にバランスが片寄りがちです。
日常で歩いたり身体を動かしたりすることは少なくなり、代わりに頭を使うことが増えます。
スマートフォンやパソコンを使っているとき、手先だけを酷使し、目には疲れが溜まります。
身の周りには情報が溢れ、関心が外へと向かい、自分の内への意識が薄れます。
身体の重心と同様、意識も上に上がっていると不安定になり、外界からの影響に振り回されやすくなります。

中心を取り戻せると、身体のバランスが取れ、全身を一体として動くことが出来ます。
それは動作の質を根本的に変え、自分のあらゆる行動に影響を及ぼします。
合気の技では、肩の力を抜いて相手の言い分を聞き、自分の中心を持ちながら、お互いがぶつからないように動きます。
そうした心持ちはそのまま、人間関係を円滑にすることにも通じるように思います。
常に自分の中に信頼できる中心が在ることは、周りがどのように移り変わっても、それに応じて生きていけるという安心感に繋がります。

丹田の感覚はすぐに生まれるものではなく、身体の外側の力が抜けていることが前提になります。
外側の力を抜くと、バランスを保つためにどこかに拠り所が必要になり、最終的に集約する場所が丹田ではないかと考えます。
力を抜くと言っても、何もせずに寝ていれば脱力できている訳ではありません。
人は、緊張と弛緩の釣り合いの中で力を発揮でき、本当の脱力を得られます。
座っているときも、立っているときも、運動しているときも、余分な力を抜くためには身体のバランスが大切になります。
様々に条件が変わっても、常にバランスを中央に近付けられるように、呼吸を基準として自分自身を見直します。
呼吸を観察することは、自分の内に目を向ける上での指針となります。

丹田は、それ自体の働きと共に、身体の感覚を深めていく過程に大きな意味があるような気がしています。
症状を改善するだけでなく、そうした身体の持つ素晴らしい力を感じて頂けるような、施術ができるようになりたいと思っています。


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丹田について その1

   2018年05月11日

 

合気関連の記事で分かりにくい方もおられるかも知れませんので、「丹田」について書いてみたいと思います。

一般的に言われる丹田は、下腹部に位置するツボの名前を指します。
武術に限らず、多くの健康法や作法で重要視される場所ですが、どのように捉えるかによって動作の質は大きく変わります。
よく、動作の解説で「下腹部に力を込めて」とか、「腹圧を高めながら」といった表現を見かけます。
言葉通りに、腹筋に力を入れて腹部を固めてしまうと、それ以上は息を吸えなくなります。
実際に行なってみて、呼吸が通りにくくなる方法は、身体にとって不自然な動作だと考えます。

合気観照塾では、丹田を固定された点ではなく、「西江水」という捉え方でその働きを学んでいます。
稽古に参加し始めた頃、身体の力を発揮する上で骨盤の動きがいかに大切かを知り、そこを起点とするように動作を練習していました。
けれども、技を掛けておられる師匠の丹田を初めて触らせて頂いた時、もっと深いところから力が生まれていることに気付きました。
下腹部の奥に球のような存在を感じ、その働きが結果として骨盤など全身の動きに表れているように感じました。
それ以来、自分の身体の内部を意識しながら稽古するようになりました。

骨盤が締まるバランスで息を吐き、締めをキープしたまま息を吸って身体を張ることで、下腹部を充実させます。
そこから、さらに呼吸を吸い上げて、川の水が末端まで行き渡るように、四肢の先まで伝えます。
脱力して息を吐くことで、元の場所へ戻っていき、力は滞ることなく身体を循環します。
収束する中心を持ちながらも、一点に固執せずに、視野を全体に広げることの大切さを学びます。
丹田は、その時の身体のバランスに合わせて広がり、状況に応じて自由に変化できるようにしておくことが重要になります。
丹田の働きによって、自分の中心を保ったまま、相手の力を吸収して返したり、体勢を転じて受け流したり出来ます。
身体の中心に丹田が在り、身体の内側にその通り道が張り巡らされています。
「西江水」が働く身体が出来ていれば、全身のどこを押さえられたとしても、合気を掛けられるということになります。


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