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PONOブログ

2020年7月

心身の鍛錬

   2020年07月15日

 

武術は、心身の鍛錬だとよく言われます。
つらい稽古を乗り越えていく中で、心や体が鍛えられるというようなイメージを持つ方もおられるかも知れません。
私は、稽古をつらいと思ったことは無いので、そうした印象は持っていません。

師匠に合気を掛けて頂いたとき、それまでに経験してきた押し合いとは全く違う力に出会います。
押そうにも押せず、いつの間にかバランスを崩されて、投げ飛ばされます。
そのような現象が起こるということに驚きや不思議さを感じ、自分もそうした技を身に付けたいと思います。
そのためには、まず頭の切り替えを迫られます。
今まで慣れ親しんできた力の使い方を辞め、新たな発想で動作を見直す必要が生じます。
しかし、いざ自分で技を掛けようとすると、力を抜く、呼吸で動く、ということが、いかにも頼りなく思えます。
今までと同じ使い方をしても何も変わらないので、とりあえず真似をして動いてみます。
師匠や先輩方の御指導を通じて、条件が整えば、そのほうが楽に力が伝わることを経験します。
けれども、自分の姿勢が変わったり、相手の押し方が変わったりすると、また緊張して元の動きに戻ります。
道場の中だけでなく、生活や仕事を通じて、稽古で得た感覚を取り入れていきます。
そうした沢山の積み重ねを通して、頼りなく感じていた新たな力の出どころに対する信頼が少しずつ育ってきます。

稽古を続ける過程で、呼吸や動作が変わり、実力が付いてくるという側面もあります。
それに加えて、年月の間に積み重ねてきた自覚によってもたらされる力も大きいように思います。
自分が日々をどのように過ごしてきたかは、自分が一番よく分かります。
それは、いくら上手に指導されても、短期間の鍛錬では得られないものだと思います。
どんな状況でも技を掛けられるという心持ちは、どのような患者さんが来られても対応できるという安定感に繋がっていくのではないかと考えます。
十年以上、稽古を継続してこられた理由の根っこにあるのは、合気を通じて体験する身体の奥深さだと思います。
まだまだ分からないことだらけですが、自分が十年前より成長できたということは確信を持って言えます。
そうした方向に導いてくださっている師匠に、心より感謝しています。


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