Home » 記事一覧
PONOブログ

‘健康’

腰痛の原因は…

   2020年12月15日

 

「腰痛の8割が原因不明」というのは、よく言われる話です。

厚生労働省のホームページで公開されている腰痛の資料から引用すると、

1 腰痛の定義
「腰痛」とは疾患(病気)の名前ではなく、腰部を主とした痛みやはりなどの不快感といった症状の総称です。一般に座骨神経痛(ざこつしんけいつう)を代表とする下肢(脚)の症状を伴う場合も含みます。腰痛は誰もが経験しうる痛みで
す。

2 特異的腰痛と非特異的腰痛
医師の診察および画像の検査(X 線や MRI など)で腰痛の原因が特定できるものを特異的腰痛、厳密な原因が特定できないものを非特異的腰痛といいます。ぎっくり腰は、椎間板(ついかんばん)を代表とする腰を構成する組織のケガであり、医療機関では腰椎捻挫(ようついねんざ)又は腰部挫傷(ようぶざしょう)と診断されます。しかしながら、厳密にどの組織のケガかは医師が診察しても X 線検査をしても断定できないため非特異的腰痛と呼ばれます。腰痛の約 85%はこの非特異的腰痛に分類されます。通常、腰痛症と言えば非特異的腰痛のことを指します(図 2-1-2)。

と書かれています。

腰痛に限らず、肩や膝の痛みも、レントゲン上では原因が特定できなかったり、異常が見つかっても原因ではない場合が大半を占めます。

整形外科では、画像診断だけでなく、徒手検査など様々なテスト法が行なわれます。

その結果によって、既存の病名に分類され、それに基づいて施術の方針が決まります。

痛みとの関連が考えられる関節や筋や神経にアプローチして、症状の改善を目指します。

けれども、生じている痛みは結果であり、それを作り出した原因を見直さなければ、また同じことを繰り返すことになります。


根本的な改善を目指すためには、身体全体のバランスを診ていく必要があります。

それは、病名で分類できるほど単純ではなく、人によって千差万別です。

日常で起こる痛みの多くは、日々の生活の中での姿勢や動作によって引き起こされます。

痛めた本当の原因は、本人にしか分からないものなのかも知れませんね。


  comment(0)
 

 

省エネで動く

   2020年12月08日

 

近年は平均寿命が延び、歳を取っても元気に動けることが重要な課題になっています。
加齢によって筋力が落ちても活動できるようにするためには、省エネで動けるように工夫していく必要があります。
椅子から立ちあがるのも、階段を上るのも、同じ動作をどれだけ楽に出来るかが大切になります。

現代は、身体を鍛えることに重きが置かれ、負担を掛けることで丈夫になると言う認識があります。
筋力が衰えないようにと、トレーニングをしたり、運動量を増やすことが勧められます。
確かに、現代の生活は運動不足になりやすいため、積極的に身体を動かすのは大切なことです。
けれども、運動の仕方によっては、健康になるばかりか、却って身体を悪くする場合もあります。

動作の質を左右するのは、個々の筋力では無く、全身の総合力です。
運動によって、どこかが疲れたり、痛くなったりするのは、身体の使い方に問題があるためです。
一人で全てを抱え込むより、それぞれの得意分野で協力する方が、よほど大きな仕事が出来ます。
どのような動作も、身体の全部が協力するように心掛けていくことが重要になります。

そのために、動作するときはいつも呼吸を意識するようにします。
深く呼吸をするとき、肋骨や骨盤の内側にある筋が働きます。
そういった普段使えていない筋も、動作を助けてくれます。
より呼吸の力を活かすためには、姿勢や動作を変えながら、呼吸がどこまで伝わっているかを観察する練習をします。
呼吸によって、胸やお腹だけで無く、背中や腰も、骨盤底も横隔膜も、脚も腕も頭も、足裏も手の平も動きます。
普段の動作においても、呼吸で全体が連動して動かせる状態を目標とします。

本来、身体を動かすことは気持ち良いものです。
鍛えるためではなく、動くこと自体に喜びを感じられるような身体を目指していきたいものです。


  comment(0)
 

 

立っているときの重心

   2020年12月03日

 

姿勢のチェックとして、背中を壁に付けて立つ方法がよく紹介されます。
踵や背中や頭と、壁との間に隙間がない状態が良いとされています。
実際に、その時の重心の位置を観察すると、踵に乗っていることが分かります。
壁に触れている時はまだしも、その姿勢のまま立つと、ふくらはぎの筋肉は縮み、後ろに倒れないように脚の前側が緊張します。
そこから歩こうとすれば、重心を前に持っていくために前足底で地面を蹴って進むしかありません。
立ったり歩いたりと言った日常の動作で緊張状態が続くと、それだけ身体の負担は増えます。

筋力に頼らずにバランスで歩くためには、歩く前の姿勢が大切になります。
股関節の重心のラインが踵の前に落ちる位置にあると、骨盤の傾きによって脚の前が伸びたり後ろが伸びたりします。
骨盤がニュートラルなポジションでは、どちらにも揺らぐことか出来る不安定なバランスがあります。
揺らぎの範囲から外れた姿勢で立っていると、筋が緊張して安定させようとします。
不安定なバランスだからこそ余分な力が抜け、どちらにでも動くことが出来ます。

その時、両足を揃えていると、左右の土踏まずを上面とする球体の空間を感じられます。
球体を風船の様にイメージし、その中心を意識すると、息を吸った時に膨らんだり、吐いたときに縮んだり感覚が得られます。
その球をなぞるように動くと、足底の感覚を損ねること無く、重心を移すことが出来ます。
歩くときは、前方への重心の偏りが高まって次の一歩が踏み出されます。
肚の傾きで、歩くスピードや距離感がコントロールされます。
一滴の水から波紋が広がるように、中心で起きた僅かなバランスの変化も、身体の端々に動きを生み出します。
行き先を邪魔せず自由に動けるように、身体を弛めておくことが大切になります。

重心の位置は、物事に向き合う心持ちにも影響を与えます。
腰が引けることも前のめりになることも無く、楽な姿勢で過ごしていきたいものです。


  comment(0)
 

 

爪の仕組み

   2020年11月29日

 

八月の中旬に、うっかりドアに指を挟んで、左手の小指の先を痛めてしまいました。

数日経つと、爪の下の出血で小指の爪が真っ黒になって剥がれました。

その後の治り方が、想像していたのと違ったので驚きました。

根元から順に爪が回復してくるものだと思っていたら、爪の部分にある皮膚が少しずつ硬化して先に土台が出来ました。

爪床(そうしょう)と言うらしく、その上を覆うように爪が伸びていきました。

爪が皮膚の一部だということは知識として知っていたものの、実際に治っていく過程を目で見て、その仕組みに感心しました。

怪我をした時は元通りに治るか心配しましたが、痛みは最初の数日で治まり、爪も綺麗に生えてくれました。

身体って本当によく出来ていますね。

回復してくれた身体に感謝すると共に、迷惑を掛けないように気を付けていきたいと思いました。


  comment(0)
 

 

自然の在りよう

   2020年10月05日

 

私の実家は、京都府の山村にあります。
村の姿を見ると、自然の在りように合わせて生活が営まれていることが分かります。
山には陽の当たりやすい側と当たりにくい側があり、川は高いところから低い所へ流れ、逆になることはありません。
それに沿って、道ができ、家が建てられ、田んぼや畑が作られています。

私が学生の頃、台風の影響で下流の川が氾濫したため、実家の近くの川を整備する計画が進められました。
大型車両が出入りするために山が切り開かれ、川岸をコンクリートで覆う護岸工事が行われ、上流にはダムが造られました。
身近な自然が人の手で造り変えられていく様子を見るのは、胸が痛みました。
自然災害で川が乱れ山が崩れても、形を変えて自然は生き続けます。
しかし、人工的にコンクリートで固めてしまうと、そこに生えていた草や住んでいた生き物が戻ることはありません。
水量の少ない小川に、それほど大掛かりな工事が本当に必要だったのか、今でも疑問に感じます。

関節の手術をされたレントゲンを見ると、その時とよく似た感情を抱くことがあります。
実際に、私が整形外科で診せて頂いていた患者さんが膝の手術をされることが決まったときは、自分の力不足を痛感し、治療が上手くなりたいと心から思いました。
もちろん、大きな怪我をされたり関節の変形が進んでいたりと、手術が必要な場合もあるのだと思います。
立っていられないほど辛い膝の痛みから自由に歩けるようになるなど、手術で助けられた方も沢山おられます。
けれども、動作の制限が強かったり、別の場所に痛みが出たり、術後の相談を受けることも良くあります。
手術に依らない保存療法で改善するケースも多々あり、その方が身体の負担が少ないことは間違いありません。
そして、それ以前に傷めないように普段の身体の使い方を変えていくことの大切さを実感しています。
自然に治したいという方の希望に応えられるように、健康について学び続けていきたいと思っています。

O

実家は、見えている山の向こう側にあります


  comment(0)
 

 

水面下

   2020年05月25日

 

川を悠々と渡っているように見える鴨も、水面下では脚を動かしています。
活動を支えているのは、外から見えない部分の働きだったりします。

人の動作においても、同じことが言えます。
手先だけで動いたり、前側しか意識がなかったり、表層の筋肉ばかりを使ったりしてしまうことがよくあります。
手に対して脚が、前に対して背中側が、表に対して深部が、水面下に当たります。

広く、深く、伸び伸びと、体を活かしていきたいものです。


  comment(0)
 

 

揺らぎ

   2020年03月12日

 

立っているときに、足の裏に意識を向けてみると、少しづつ重心が移っていることを感じられます。
身体は、重心の変化を感じ取ってバランスを変え、一定の範囲内で揺らいでいます。
自転車が走っていることで安定するように、常に変わり続けることで均衡が保たれます。
傾きが大きすぎて範囲から外れたときは、バランスを崩して転んでしまいます。

それは、健康の概念そのものにも当てはまります。
病は健康と対極にあるものではなく、健康をセンターとした揺らぎが身体の不調だと考えます。
健康な状態から、どちらか一方に大きく振れると病になります。

基準となるセンターは人によって違います。
例えば、健康的な食事を考えるとき、栄養はバランス良く取るべきだという考え方が一般的です。
私も、食生活が偏らないように心掛けています。
けれど、野菜しか食べない主義の人もいれば、植物が全く育たない国で生活している人もいます。
そのどれが健康であるか、一概に比べることは出来ません。
選んだ生き方や生活している環境によって、センターは変わって行きます。
自分がバランスを取れる臨界を知り、振れ幅を小さくしていくことが大切なのだと思います。


  comment(0)
 

 

意識

   2019年12月17日

 

腕を上に伸ばしたときと、 棚の上のものを取ろうとするとき、似たような動きでも、両者の間には大きな違いがあります。
その違いはどこから来るのでしょうか。

運動学では、脳からの命令が神経を通って筋に伝わり、運動が起こるとされています。
けれども、私達はそうしたことを一つ一つ認識して動作を行なっているわけではありません。
座る姿勢をキープするのも、立ちあがるのも歩くのも、意識が先に動き、そこに動作が付いていきます。

身体を自由に動かせるようにすることと、意識の働きを高めていくことは一致します。
身体の内外に意識を広げるためには、呼吸が重要な役割を果たします。
風それ自体は目に見えませんが、吹き抜けるときの音や草木が揺れる様子や肌に触れた感触が残り、確かに通り過ぎたことが分かります。
それと同じように、お腹に吸い込んだ空気は、呼吸の広がりと共に指先や足先まで通っていきます。
単に腕を持ち上げたときと、息を吸いながら腕を上げたときを比べてみましょう。
呼吸に合わせて指の先まで伸ばすように意識すると、違いがもっと大きくなります。
同じように見える動きも、意識や呼吸が通っているかどうかで全くの別物になりますね。

関連記事
目に見えないもの その1
私が合気の稽古で体験したことを、同じようなテーマで書いています。


  comment(0)
 

 

緊張と弛緩

   2019年12月11日

 

私達の身体は、いつも緊張と弛緩を繰り返しています。
息を吸うと力が満ちて張りが生まれ、吐くと弛んでいきます。
身体に深く呼吸が入るほど、大きな脱力が得られ、それが次の呼吸に繋がっていきます。

けれども、日々の活動で、緊張することがメインになってしまうことがよくあります。
忙しく身体を動かしていたり、休む暇もなく頭を使っていたりすると、心身が弛む間もありません。
呼吸との間のズレは、一日や一週間や一ヶ月といった長いスパンで見たときのリズムに反映されます。
弛緩よりも緊張の割合が高くなると、いつしか緊張している状態が当たり前になってしまいます。

動作を呼吸に合わせることは、身体が安らぐ時間を作ってくれます。
お茶を飲むときに湯呑みを持ったり置いたり、歩くとき脚を上げたり下ろしたりする間にも、緊張と弛緩があります。
そうした何気ない動作を呼吸に合わせてゆっくりと行なってみることで、いつもよりも力が抜けたり丁寧に動けたりします。

呼吸に目を向けながら、弛める時間を大切に過ごしていきたいものです。


  comment(0)
 

 

温度

   2019年12月06日

 

今年もインフルエンザが流行し始めているようです。
熱が上がる前には寒気が起こります。
身体は免疫力を高めるために体温を上げようとするため、脳が設定した温度と実際の体温との間に差が生じます。
そのため、 暖かい布団をかぶっていても 、寒いように感じます。
そんなとき、お風呂で熱さを感じるまでお湯の温度を上げて感覚が一致すると、早く経過します。

温度の感覚は、肌で感じる以外にも様々な要素が影響しています。
外から暖めてもなかなか手足が温まらないこともあれば、寒い場所に居るのにポカポカしていることもあります。
体温は身体の内から起こり、先まで意識が行き届いているとき、全身に行き渡ります。
意識が薄いところがあったり、精神的に緊張したときにも、冷えが起こります。
口にする物、目にする色、鼻から入る香りによっても変化します。
熱や冷えを基準に生活を見直しても、色々な発見がありますね。



  comment(0)
 

 

Copyright(c) 2019 Active Body Therapy PONO All Rights Reserved.