省エネで動く
近年は平均寿命が延び、歳を取っても元気に動けることが重要な課題になっています。
加齢によって筋力が落ちても活動できるようにするためには、省エネで動けるように工夫していく必要があります。
椅子から立ちあがるのも、階段を上るのも、同じ動作をどれだけ楽に出来るかが大切になります。
現代は、身体を鍛えることに重きが置かれ、負担を掛けることで丈夫になると言う認識があります。
筋力が衰えないようにと、トレーニングをしたり、運動量を増やすことが勧められます。
確かに、現代の生活は運動不足になりやすいため、積極的に身体を動かすのは大切なことです。
けれども、運動の仕方によっては、健康になるばかりか、却って身体を悪くする場合もあります。
動作の質を左右するのは、個々の筋力では無く、全身の総合力です。
運動によって、どこかが疲れたり、痛くなったりするのは、身体の使い方に問題があるためです。
一人で全てを抱え込むより、それぞれの得意分野で協力する方が、よほど大きな仕事が出来ます。
どのような動作も、身体の全部が協力するように心掛けていくことが重要になります。
そのために、動作するときはいつも呼吸を意識するようにします。
深く呼吸をするとき、肋骨や骨盤の内側にある筋が働きます。
そういった普段使えていない筋も、動作を助けてくれます。
より呼吸の力を活かすためには、姿勢や動作を変えながら、呼吸がどこまで伝わっているかを観察する練習をします。
呼吸によって、胸やお腹だけで無く、背中や腰も、骨盤底も横隔膜も、脚も腕も頭も、足裏も手の平も動きます。
普段の動作においても、呼吸で全体が連動して動かせる状態を目標とします。
本来、身体を動かすことは気持ち良いものです。
鍛えるためではなく、動くこと自体に喜びを感じられるような身体を目指していきたいものです。