『あくびをこらえる』 その1
加齢と共に、様々な健康の悩みが起こりやすくなります。
特に多いのは、膝が痛む、腰がつらい、首や肩が凝る、といった訴えです。
けれども、誰もが同じようにそうした不調が生じるかと言えば、必ずしもそうではありません。
同じ年齢でも、元気に趣味を楽しんでいる方もいれば、痛みのためにやりたいことを我慢している方もおられます。
その違いは、一体どこにあるのでしょうか?
仕事柄、多くの方の身体を診せて頂いていますが、要因の一つとして挙げられるのは「中央を締める働き」です。
例えば、仰向きに寝たときに、足先が大きく開いていたり、O脚になっている方が多くおられます。
それは、脚だけの問題ではなく、体幹の内部を締める働きが衰えていることが関係します。
立って姿勢を診せて頂くと、背中が丸くなって、頭が前に出ていることも、よくあります。
背筋(せすじ)を伸ばそうと意識しても、背中の筋肉だけで姿勢をキープし続けることは難しくなります。
身体のバランスが崩れると、ふらついたり、転んだりしやすくなります。
さらに、喉が引っ掛かりやすくなったり、尿が漏れやすくなったりといった、様々な症状が現れます。
最近は、高齢者だけでなく若い世代でも、こうした状態に陥っている方が見受けられます。
締める力を高めるなら、内股や骨盤内の筋肉をトレーニングすれば良いのではないかと思う方もおられるかも知れません。
けれども、一部の筋肉を鍛えることは、全体のバランスを崩し、別の問題を引き起こす原因となります。
私達の身体の中央には、団子の串のように芯が通っています。
それは木のように固い棒ではなく、呼吸と共に、伸びたり縮んだり、締まったり弛んだりする、柔軟性を持った軸です。
頭や肋骨や骨盤の位置が真ん中から外れていれば、中央に芯を通すことは出来ません。
大切なのは、呼吸を通じて、全体のバランスを中央に近付けていくことです。
でも、いきなり身体の中央とか内側とか言われても何のことか分からない、という方がほとんどだと思います。
そうした感覚を養っていくために、「あくびをこらえる」ことが効果的です。