合気の三本柱
私は、およそ10年ほど前から、合気観照塾という道場で合気を学んでいます。
合気の稽古を通して自分を見つめ直し、呼吸・体内操作・意念という三本柱で身体を創っています。
【呼吸】
私達の身体は、呼吸と共に緊張と弛緩を繰り返しています。
それは、肺が伸縮するという解剖生理学の説明ではなく、心身に行き渡るもっと大きな働きを指します。
力を入れるときに掛け声を発したり、驚いたときに息を吸ったり、ホッとしたときに息を吐いたりします。
呼吸は動作や感情と深く関わっており、呼吸をベースに身体を構築していくことで、自然に備わった働きを存分に活かすことが出来ます。
そして、呼吸によって自らの心身をコントロールできる状態にあると、相手の呼吸を誘導することも可能になり、それが合気を使った技となります。
【体内操作】
私達の身体には、意識できていない場所、動かせていない場所がたくさんあります。
呼吸に関係の深い筋は身体の深層にあり、深層にある筋を自在に動かせるようになって初めて、中心からの力が生じます。
浅層の筋は伸び縮みすることで動作における張力となり、自分の身体の状態や外界の状況を伝えてくれるセンサーとしても働きます。
縮めて固まった場所があると、感覚を鈍らせ、動きを妨げる要因になります。
筋にはそれぞれに適した役割があり、全体が協調し、分担がきちんと行われることで、大きな力を発揮し、細やかな動きを実現できます。
【意念】
呼吸も体内操作も、自分の認識できている範囲でしか、行なうことは出来ません。
逆に、意識が及んでいる範囲であれば、意識するだけで呼吸や体内操作によって起こる働きと同様の力を導くことも出来ます。
意念はイメージの使い方次第で、現実の世界に縛られることなく無限に広がります。
自分の頭骸骨に内側から色を塗ったり、月に届くほどに軸を伸ばしたり、想像できることなら何でも有りで、それは現実の身体に影響を与えます。
また、意念は、自分の身体の内に及ぼす働きだけでなく、外向きに力を発する場合にも重要になり、意念の精度によって相手に働き掛ける力は大きく変わります。
それらは、別々に働くものではなく密接に結び付いており、果たそうとする目的によって必要とされる割合が変わります。