合気と施術 その1
よく施術の前後に、お客様に姿勢のアドバイスをさせて頂いています。
足の向きや重心の位置を少し中央に近付けただけでも、「ずいぶん内股になっている気がする」「かなり重心が前にあるように感じる」と言われることがあります。
見た目にはほとんど変わらない僅かな差でも、自分の感覚では大きな変化に感じたりします。
往々にして、客観と主観の間には大きなズレがあります。
いくら客観的なデータでは改善していると主張しても、本人が変わらないと思っていれば、それは良くなったとは言えません。
反対に、他人から見れば気付かないくらいの変化であっても、自分にとっては世界の観え方が変わるくらい大きな出来事になることもあります。
仰向きに寝てもらったとき、身体が曲がっていたり、斜めになっていたりします。
自分が真っ直ぐだと思っている姿勢が真っ直ぐでないことは、よくあります。
いくら見た目だけ真っ直ぐにしても、真っ直ぐの感覚がズレたままだと、すぐに戻ってしまいます。
したがって、施術では、本人の感覚に働き掛けることが重要になります。
施術は筋や骨と言った実体のバランスだけでなく、感覚のバランスを整えているとも言えます。
お灸で身体の冷えている場所を温めると、身体が楽になります。
冷えきっていると、熱を感じにくいですが、徐々に感じられるようになっていきます。
冷えた部分を温めることで血流が改善して…といった説明もありますが、偏っていた温度の感覚が揃ったという見方も出来ます。
感覚の不調和は不安を生み、調和が取れているとホッとします。
身体の状態と精神状態はリンクしています。
固まっている場所が動くようになったときは、心の緊張も弛みます。
身体をスムーズに動かせるようになると、気持ちも軽くなります。
身体の感覚がクリアになると、意識も澄んでハッキリします。
重みが肚に落ちているときは、精神的にも落ち着きます。