時間と感覚 その2
2019年08月03日 カテゴリー : 合気
刀を振り上げるとき、丹田からの伸びを伝えることによって腕を上げていきます。
振り下ろすときは、力を抜いて重力による落下に任せ、刀に丹田の重みを乗せます。
待つときは、いつでも相手の中心に最速で刀を下ろせる状態で、刀を構えます。
丹田の動きが手に伝わるまでの間には、時間差があります。
したがって、手が動くより先に、丹田は手が向かう方向を知っていることになります。
そして、相手に向かう意識はそれよりも更に前から働いています。
相手が外見上の動きを認識したとき、すでに意識は通り、丹田の動きが始まっていることになります。
お互いの間の時間差が開いているほど、状況に応じて臨機応変に対応する余裕が生まれます。
相手が振り下ろした太刀筋を避けたり、隙が生じた点を狙ったり出来ます。
一瞬が勝敗を分けるであろう真剣勝負において、その差はとても大きなものだろうと想像できます。
楽しいことをしているときは時間の流れを早く感じ、退屈なときに遅く感じることは、誰しも経験します。
時間のペースはみんな平等だと考えられていますが、時間の感覚や流れへの乗り方は人によって違うように思います。
それは、その時々の心身の在り方に左右されます。
心身の緊張が弛み、丹田に落ち着いていると、いつでもどちらにでも動けます。
そうした余裕は、生活においても大切なのだと思います。
季節の移ろいも、人の行動も、心身の健康も、変化が外に表れる前に、そちらへと導く背景があるように感じます。
そうした動きを受け取り、臨機応変に対応できるバランスに居られるように、稽古を続けていきたいと思っています。