姿勢と呼吸 その3
自分のセンターを観察するための方法を一つご紹介します。
立位で、身体を前後に揺らします。
最初は、つま先や踵は浮かさずに、小さな動きで丁寧に行ないます。
息を吸いながら重心を前に移動し、吐きながら中央に戻します。
息を吸いながら後ろに移動し、吐きながら中央に戻します。
何度か行なって、つま先や踵が浮いてきたら、それに応じて、少しずつ動きを大きくしていきます。
そして、前と後ろのバランスを保てる限界の位置を観察します。
今度は、少しずつ振り幅を小さくしていき、ほとんど動きが無くなったところで一息つきます。
左右の重心移動も同様に行います。
いきなり「中央」と言われても、どこか分からないかも知れません。
揺れる振り子のように、相対するバランスの間には真ん中があります。
中点があるからこそ、風向きに合わせてどちらの方向にも揺れることが出来ます。
動作を行うことよりも、身体に目を向けながら、呼吸に合わせて動くことが重要です。
動きやすい方向と動きにくい方向はありますか?
緊張しやすい場所はありますか?
左右の足は均等に着けていますか?
動作を行う前と後で何か違いはありましたか?
どんな小さなことでも、自分の身体について何か一つでも発見があれば、大成功です。
自らのアンバランスを自覚できれば、少しずつ中央に近付けていくことが出来ます。
これまで、呼吸が姿勢や動作に与えている影響を見てきましたが、その逆も同様です。
例えば、手に力を込めて握ってみると、ほとんど息が吸えなくなることに気付きます。
握っていても、手の平の力を抜いてお腹の緊張が弛めば、息を吸い込めるようになります。
握る動作というのは、買い物袋を提げたり、フライパンの柄を持ったりと、日常生活でもよく見られます。
そうした普段の何気ない行動によって、呼吸の深さは左右されています。
生活している中で、同じ姿勢のままジッとしていることは稀です。
働いている時も、遊んでいる時も、休んでいる時も、その時々で姿勢を変え、様々な動作をしています。
そして、それに応じて呼吸の通りかたも変わっていきます。
いつも決まった状態で無ければ呼吸の働きを活かせないというのでは、意味がありません。
条件が変わってもその力を発揮するためには、日々の生活にセンタリング呼吸法を取り入れていくことが重要です。
それは、呼吸を基準として、自分の持つ能力を最大限に活用できるように身体を創り変えていくことでもあります。
姿勢は、見た目だけの問題ではなく、心身の状態がそのまま反映されています。
姿勢を整えることは、心身を整えることに繋がり、思いもしなかった所まで好循環に変わっていきます。
呼吸によって自分の内の芯を育て、健やかで美しい姿勢を目指しましょう!